編集者の仕事を種類別に紹介:雑誌・小説・漫画・Webなど
編集者と一口にいっても、その仕事内容はどのようなメディアに関わるか、どんな企業に所属するか、そもそも会社員なのかフリーランスなのかでも大きく異なります。今回は、携わるメディアの種類別に編集者を分類し、その仕事内容を紹介します。
編集者の主な仕事内容
それぞれの分野毎の仕事を紹介する前に、まずは編集者を「紙メディア」と「Webメディア」に分けて、それぞれの仕事内容を簡単に見ていきましょう。
<紙メディア>
(1)どのような本や雑誌(特集や紙面単位の場合もある)を作るか企画
(2)企画書や構成案の作成
(3)著者やライター、カメラマンなどのアサイン
(4)取材(企画によっては発生しない場合も)
(5)原稿チェック、校正、校閲。写真などの素材の当て込み
(6)デザイナーからページデザインを受け取り、原稿や写真などをあてはめる
(7)印刷所に原稿を渡す
(8)試し刷り(ゲラ)を校正
(9)校正と印刷所での修正を繰り返し、修正がない状態にする
(10)印刷、出版
<Webメディア>
(1)記事の企画出し
(2)構成案、企画書の作成
(3)取材のアポ取り、カメラマンやデザイナーなど各種アサイン
(4)取材(企画によっては発生しない場合も)
(5)原稿チェック、校正、校閲。写真などの素材の当て込み
(6)写真などをあてはめる
(7)CMS入稿、公開
これだけ見ると、紙メディアに比べてWebメディアはやることが少なく見えるかもしれません。しかし、これ以外にも、Webサイトのアクセス分析や場合によってはディレクション業務が発生することもあります。
① 雑誌編集者
まずはじめに紹介するのは、雑誌編集者です。雑誌編集者は編集者のなかでもかなりハードな部類に入るのではないかと思っています。特に週刊誌の編集者は、Webとまではいえないにせよ、かなりのスピード感を問われます。また、雑誌の編集者は長く業界で働いている人が多いため、拘りが強い職人気質な人が多いのも特徴です。いわゆる下積みとしてアシスタントを何年経験してから、一端の編集者になるというパターンが、周りを見ていても多い気がします。
編集者としての基礎が身につく
ただ、その分編集者としての基礎、たとえば文章力や企画力といった部分に関して得られるものは大きく、20代のうちは雑誌の編集者を経験しておくのは、非常に有意義といえます。僕もいま20代後半ですが、もう少し若ければ雑誌編集者もアリかなーとか思っていた時期がありました。
仕事の内容も、企画から制作進行、取材、スタッフのアサインやロケハンなど、雑誌を経験すれば、編集者として必要な経験は大体網羅できます。
②小説編集者
次に紹介するのは小説編集者の仕事です。小説編集者は、雑誌ほどのスピード感は求められない分、企画や執筆者とのコミュニケーションをより綿密に、丁寧に進めることが求められます。たとえば売れっ子小説家に本を書いてもらう、こんなケースの場合、その小説家さんのメンタルケアまで求められることも・・・(希有なケースではありますが)また、イメージとしては、雑誌よりもその企画ひとつひとつを精魂込めて作りあげる、といった感じです。
また、上記の業務のほかにも、小説家の発掘や育成、持ち込みへの対応も小説編集者の仕事です。どのような小説や世の中に受けるのかを見抜くための感覚も必要なのです。
雑誌編集者より黒子的な立ち回り
そんな小説編集者ですが、仕事の内容としては、小説家とのコミュニケーションや調整業務が仕事の大半を占めるでしょう。雑誌とは違い、あまり自分で執筆する、という機会はなく、より黒子的な立ち回りを求められることでしょう。
③漫画編集者
3つ目に紹介するのが、漫画編集者です。漫画編集者も、大枠は小説編集者と同じく、漫画の企画や作家や印刷会社とのやり取りのほか、漫画家の発掘や育成、持ち込みへの対応などを中心に行います。漫画編集者に求められるのは、何よりも漫画好きであること。読者に寄り添って、いい意味で素人視点で漫画家と二人三脚でストーリーを企画することが求められます。
柔軟かつインタラクティブな思考が必要
また、読者アンケートの反応を参考に、ストーリーをどのように展開していくか、柔軟に考えることも多く、物語の帰結点がほぼ決まっている文学作品の編集者と異なり、マンガ編集者は、より柔軟かつインタラクティブな対応を求められます。
④Web編集者
また、出版不況が叫ばれて久しい昨今注目されはじめているのが、Web編集者です。Webメディアのコンテンツを制作するこのWeb編集者ですが、雑誌や新聞よりも、さらにスピード感が求められます。これらレガシーメディアとは違い、テキストを作成したら、あとはWeb上にアップロードすればいいだけですからね。
今後はWeb編集者がおすすめ
そんなWeb編集者ですが、近年紙メディアからの人材流入も盛んになってきています。消費者の可処分時間がどんどんオンラインに移行し、出版業界が縮小していくなか、、紙メディアで働く編集者も、業界のこれらからに不安を感じているのかもしれません。次世代の情報流通を担うのは、Web編集者なのかもしれません。