こっそりメディア論

メディア、広告業界について、「ビジネス」「キャリア」「アカデミック」の3つの視点から考えます

バイラルメディアとは?最新の動向とおすすめサイト20

前回の更新からなんとなんと1年以上が経っていました…衝撃。いやー昨年と今年は本当に色々ありました。正直部署移動やら体壊したりでブログどころではありませんでした。ここ最近はある程度時間を作れるようになったので、久々に更新します。ちょっと前に話題になった「バイラルメディア」について。「バイラルメディアのバブルは弾けた」、「クソメディア」など散々叩かれてるバイラルメディアですが、最近のトレンドやマネタイズの方法、あと定義や語源に関して記述がある記事が少なかった(というかほとんどなかった)ので書いてみることにしました。

 

バイラルメディアの定義

そもそもバイラルメディアって何だっけ?というところから。バイラルメディアは英語表記だとViral mediaになるわけですが、意味としてはその名の通りViral(ウィルス性の)media(媒体)。

ソーシャルマーケティングラボによると、

バイラル(Viral)とは「ウイルス性の」「感染的な」という意味で、「バイラルメディア」とはFacebookTwitterなどのSNSの情報拡散力を利用して、インパクト・話題性のある動画や画像を中心とした記事に、短期間で爆発的なトラフィックを集めることを目的としたブログメディアを指す。

smmlab.jp

 って感じに定義されてます。つまり、バイラルメディアとは検索流入ではなくTwitterFacebookといったSNSでシェアやいいね!されるような いわゆるバズコンテンツをメインに提供しているメディアのことを指すようです。ぱっと思い浮かぶこ例でいうと、BUZZFEEDとかその辺ですね。

ただ、海外だとこの認識は若干異なるようで…英語版のYour dictionaryはバイラルメディアをこんな風に定義しています。

Media that is passed from person to person.

直訳すると、「人から人へ渡るメディア」ですよね。この定義自体は前述したものとなんとなく同じように思えます。でも、その例を見てみると…

A popular example of viral media is video being posted to websites such as YouTube and EBAUM'S World. Sites that host viral media are referred to as "viral sites."

 「一般的なバイラルメディアの例は、YouTubeやEBAUM'S Worldといったwebサイトに投稿されるような動画のこと。バイラルメディアをまとめているサイトのことをバイラルサイトという」

明らかに言葉の意味が違いますね。欧米(主にアメリカだと思います)におけるバイラルメディアとは、私たちがいうところのTwitterFacebookといったSNSでの拡散を狙ったコンテンツ=バイラルコンテンツのことを指すようです。おそらくこの違いは、そもそもメディアという言葉に対する考え方が異なる点から来ているのだと思います。日本では、メディアというと新聞やテレビ、それこそwebサイトをイメージする方が多いかと思います。でも欧米圏ではこの辺の考え方が少し異なるんですね。

メディアという言葉の定義や語源については以前にこちらの記事で紹介しているので、ご覧ください。

メディアの定義と語源を調べてみた - web編集者の備忘録

ユーザーの興味を引くコンテンツが多い

バイラルメディアは、画像や動画を活用した、ユーザーにとってインパクトのあるコンテンツを中心に掲載しています。ユーザーの拡散行動によって流入を増やすことを狙っている以上、メディアが提供するコンテンツは「面白系」や「やってみた」系のように、思わず周囲にシェアしたくなるようなものでなければなりません。動画や画像は、情報伝達スピードがテキストに比べて早いので分かりやすいし、表現の幅が広いため、バイラルメディアデよく使われることが多いのです。

バイラルメディアの主なマネタイズ方法は?

「バイラルメディア」の語源や定義を紹介したところで、次にそのマネタイズ方法についてです。ここでは大きく3つに分けてご紹介していきます。

1.アドネットワークの活用

もっともメジャーなのが、アドネットワークと呼ばれる広告配信システムです。具体的には複数のwebサイトを集めて、それぞれの媒体に合った広告を配信する手法のこと。みなさんが普段ネットサーフィン等をする際に表示される、バナー広告の多くがこのアドネットワークによって配信されています。現在、GoogleやYahooといった企業がこのシステムをサービスとして提供しています。

得られる広告収益は、主にクリック単価広告、もしくはインプレッション単価広告になり、前者の場合はバナーをクリックされた回数×単価(大体2円~10円)、後者の場合は表示回数1000回辺りの単価で算出されます。

 

2.記事広告やスポンサードコンテンツ

次に、記事広告やスポンサードコンテンツからの収益が挙げられます。前者は名前の通りテキストベースの広告で、通常の記事と同じように表示されるケースが多いようです。たまに記事のタイトルの冒頭などに「PR」といった文言が表示されているコンテンツを見たことがありませんか?あれは記事広告であることが多いといえます。

記事広告とよく混同されがちですが、微妙に異なるのが「スポンサードコンテンツ」です。これは、BUZZ FEEDがメインのマネタイズ方として行っていて、単純にクライアントがPRしたい商品やサービスに関するコンテンツを作成するのではなく、中立的な立場から飽くまでユーザーのためになる情報として、コンテンツを配信する方法だそうです。詳しくはこちらをどうぞ→

とはいえ、おそらく記事広告と同じように掲載期間○日=○○円といった形で予算をもらって作成するので、個人的には正直そこの境界線というか判断基準みたいなものはどうなっているんだろう?と思ってしまいます。同業者としても、その辺のオペレーション設計というか仕組みは気になるところですね。

3.アフィリエイトによる収益

 そして最後がアフィリエイトによる収益です。これは、ブロガーの方々はもちろんご存知かと思いますが、商品のリンクを記事中に貼っておいて、そこから商品を購入したり、イベントにエントリーすると報酬が発生するというシステムのこと。ただブログとは違い、バイラルメディアの多くは、ASPという代理店を挟まずに直取引という形でクライアントへの送客を行っているケースが多いようです。代理店を挟まない方が当然単価は高くなりますし、利益率はいいですからね。

ざっくりとではありますが、以上3つがバイラルメディアのマネタイズ方です。もちろんここにはないような方法で収益化を行っているバイラルメディアも多数あります。 

最近では勢いに陰りが見えてきた、という見解も

一時は国内外問わず多くのバイラルメディアが乱立していましたが、一部からはその勢いに陰りが見えてきたという声も。デジタルマーケティング戦略メディアのDIGIDAYによると、メディアの本場、アメリカではマーケターのバイラルメディアへの関心は薄れつつあるとのこと。その要因は大きく分けて2つで、ひとつはFacebookTwitterといったSNSプラットフォーム経路の集客に依存していることから、アルゴリズム変更へ流入数が左右されてしまうことです。そしてもうひとつは、つまりはトラフィックの質の問題です。一部のメディアは2017年も問題になっているアドフラウドやビューアビリティといった問題を解決できていなく、中には広告出稿を控えるマーケターもいるようです。

digiday.jp

そんな中でも例外なのが「Little Thing」

バイラルメディアが勢いを落としている中、例外といえるメディアが「Little Thing」。Little Thingが特徴的なのは、そのデザイン性と質の高いコンテンツです。フード、子育て、ペットやDIYといった領域の最新コンテンツが、画像や動画を中心に日々更新されています。

また、後述しますが2017年のバイラルメディアランキングにもランクインしており、トラフィックも伸ばしています。 

おすすめバイラルメディア20選

1.BUZZ FEED

言わずとしてれたバイラルメディアの雄。アメリカのNAVERまとめとも言われるように、アクセス量だけでなく、配信しているコンテンツのジャンルも時事問題からカルチャーまで幅広いです。動画配信なども行っていますがテキストベースのコンテンツがメイン。

www.buzzfeed.com

2.dropout

「新しいカタチの『刺さる』動画メディア」を謳っているバイラルメディアです。ジャンルは特に限られておらず、毎日ドキッとさせられるようなコンテンツを配信しています。社会問題に関するコンテンツなど、結構考えさせる動画も配信していて◎。

dout.jp

3.whats

続いてご紹介するのは「whats」というこちらも動画メディア。配信しているコンテンツはdropoutよりも「○○やってみた」とか動物の面白系動画など、ほんわかさせるような内容のものが多いです。

whats.be

4.Spotlight

バズフィードに負けずと、エンタメや社会問題まで幅広くコンテンツを配信して、多くのファンを持つのが「Spotlight」。肌感でしかないけど最近特に芸能系のネタが多くなっている気がします。芸能系の他にも、恋愛などに関するコラムなども充実してます。いい意味でゲスい記事が多くて個人的に好きです(笑)

spotlight-media.jp

5.Upworthy

次に紹介するのは、アメリカの動画バイラルメディア「Upworthy」。個人的には動画バイラルメディアのパイオニア的存在ですが、まだ日本には上陸していません。配信しているコンテンツも結構面白く、同性愛や貧困、ワークスタイルなど見応えのある動画を多く配信しています。

www.upworthy.com

6.FaithIt

続いてご紹介するのも、アメリカの動画バイラルメディア。Faithltはその名前の通り、信仰やスピリチュアルな出来事を中心に、エンタメ系や社会問題に関する動画や画像をメインとしたコンテンツを配信しています。

faithit.com

7.ViralNova

「ViralNova」こちらも日本にはまだ上陸していないメディアで、ライフスタイルやカルチャーの他、医療や科学に関するコンテンツも配信しています。基本的に画像と動画がメインのコンテンツが多いですね。

www.viralnova.com

8.Distractify

日本未上陸のメディアが続きます。続いてご紹介するのは、「Distractify」というメディア。こちらもコンテンツは画像と動画がメインのものが多いです。ただ、あまりシリアスな内容ではなく、面白系やトレンドを押えた内容がほとんど。

www.distractify.com

9.9ポスト

9ポスト、こちらも動画コンテンツ中心のメディアになります。カテゴリーは社会問題、スポーツ、音楽と幅広く展開しています。また、この9ポストの面白いところは投稿されている動画をランダムで再生できる機能。 

9post.tv

10.BUZZmag

次にご紹介するのは、面白系やほっこりするような画像や動画コンテンツが中心のメディア「BUZZmag」。カテゴリも幅広く展開しています。動物の癒し系動画や画像が好きな人は是非。

buzzmag.jp

11.FEELY

この「FEELY」もBUZZmagに少し近いかも。ただ、こちらの方が芸能人やスポーツ選手のいい話やためになる話が多く投稿されている印象。コンテンツは画像や動画がメインです。

feely.jp

12.ViRATES

ViRATESも動画と画像を中心としてコンテンツがメイン。ただ、社会やスポーツ、面白系といったカテゴリの他に「VR」というカテゴリがあること。デバイスに関する情報から、コンテンツまで掲載していて◎。

virates.com

13.netgeek

netgeekは様々なカテゴリのニュースを配信しているバイラルメディア。芸能などエンタメ要素のあるコンテンツから政治やIT関連までかなり幅広く配信しています。ちなみに速報性はかなり高いのですが、デマや意図的なミスリードが少なからずあるようで、賛否がわかれるメディアです。

netgeek.biz

14.Spotlight

芸能やエンタメニュースを中心に、政治や面白系コンテンツまで幅広く配信しているのが「spotlight」。上記のカテゴリの中でも、芸能ニュースが特に強いイメージです。また、それ以上に特徴的なのは、Spolight編集部だけでなく読者も記事を投稿することが可能なこと。

spotlight-media.jp

15.TABI LABO

そろそろ紹介するのが疲れてきました…でも頑張ります。

「TABI LABO」はカルチャーからライフスタイル、テック系のコンテンツなど幅広く配信しています。僕は名前を見て最初、「あれ、これ旅行系のメディアじゃないの?」と思ったのですが、全然違っててこの名前はメディアのコンセプトに基づいているみたいです。

tabi-labo.com

16.compass

来ました。COMPASS、かなりおすすめです。コンテンツはTwitterFacebookinstagramといったSNSとリアルイベントを活用したマーケティング戦略の成功例を中心に、インタビュー記事や特集記事を配信しています。そのクオリティの高さもさることながら、編集長の石井リナちゃんがとにかく可愛い。彼女はインフルエンサーとしても活躍しているので要注目です。

compass-media.tokyo

17.Buzzmedia

いよいよ終盤にさしかかってきましたね笑

次に紹介するのは「Buzzmedia」というバイラルメディア。芸能やエンタメ情報を中心に、映画や漫画・アニメに関するコンテンツを配信しています。動画コンテンツはそこまで多くない印象で画像とテキストがほとんどみたいです。

buzz-media.net

18.Zergnet

「Zergnet」は日本にはまだ上陸していない、ゲームや映画、芸能に関するコンテンツを配信しているバイラルメディアです。個人的には映画に関する記事が好きで、よくチェックしてます。とはいえ、オリジナルコンテンツはあまりなく、他のメディアのニュースをキュレーションしているケースがほとんどみたいですね。

ZergNet - Discover Interesting Articles 

19.Littke Things

「Little Things」もまだ日本には上陸していないメディアです。コンテンツはフード、子育て、DYIなど独自の色を持っています。アメリカでの人気も高く、コアコンセプトがしっかりしている印象です。

www.littlethings.com

20.Thought Catalog

 最後にご紹介するのは「Thought Catalog」という女性向けのバイラルメディア。配信してるのは恋愛やヘルス領域のものが多く、基本的にテキストベースのコンテンツがメインです。女性を意識したまるでファッション雑誌のようなデザインが特徴的です。

thoughtcatalog.com

【まとめ】バイラルメディアの今とこれから

いかがでしたでしょうか?ここまで、バイラルメディアの語源や定義、そしてそのマネタイズ方からおすすめサイトまで紹介してきました。バイラルメディアは、流行した2014 年辺りから賛否が分かれるメディアでした。その理由としては、情報の信憑性や拡散を目的とした誇張表現などが挙げられると思います。

そんな背景もあり、当時評判だったサイトの中には閉鎖してしまったものもあります。国内外問わず、今はバイラルメディアもコンセプトであったりコンテンツをしっかり作りこむような動きになっていて、そこに追いつけないサイトは次々に淘汰されています。そんなバイラルメディア戦国時代といってもいい状況の中、今後どんなバイラルメディアが生まれてくるのか、楽しみです。