キュレーションメディアとは?最新動向と押さえておくべきサイト10選
DeNa騒動以降、注目を集めているキュレーションメディア
昨年の12月、株式会社DeNaの運営していたメディア「Welq」や「MERY」を初めとしたキュレーションメディアが問題になったことは記憶に新しい。あの一件以降、DeNaはもちろんのこと、キュレーションメディアを運営していた企業は、記事の精査から削除、そして一次情報の追加といったリライトといった対応作業に追われていた。
騒動は一旦収束したかのように見えるが、「Welqショック」と言われる今回の騒動は、それまでインターネットメディア業界が孕んでいた問題を浮き彫りにした。(著作権の問題や質よりも広告収益を優先したコンテンツなど)
web編集者として一度一連の騒動やキュレーションメディアに関して一度はその概要をまとめ、自分の考えを持っておきたいと考え、今回はそんなキュレーションメディアに関して書いていこうと思う。
キュレーションメディアの定義は?
キュレーションメディアの定義としては、特定の領域に関して特化した情報を集約・取捨選択し、配信するメディアというのが一般的なのではないだろうか。また、キュレーションメディアが発信するコンテンツの多くが一次情報ではなく、既にインターネットや雑誌などで取り上げられているような既出のものであることが多く、前述したDeNa騒動が起きた際も、コピペ問題が大きくフォーカスされていた。
キュレーション=情報を収集しまとめること
では、そもそも「キュレーション」とはどういった意味を持つ言葉なのだろうか。辞書横断検索サービス「コトバンク」では下記のように定義されている。
IT用語としては、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。
上記からも分かるとおり、「キュレーション」という行為は、何かを新しく生み出すというよりは既出の情報をまとめる行為のことを言う。また、その行為を行う人のことをキュレーターというらしい。
分かりやすい例は「NAVERまとめ」
こういった定義からキュレーションメディアの定義を考える上で一番分かりやすい例が、LINE株式会社が提供するサービス「NAVERまとめ」ではないだろうか。NAVERまとめは、ユーザーがキュレーターとして、インターネット上の情報をまとめ、作成したページの流入数に応じて報酬が支払われるというシステムである。サイトパワーはかなり強く、検索上位に表示されるコンテンツも多い。
「Yahoo!ニュース」や「スマートニュース」、「グノシー」、「ニュースピックス」はキュレーションプラットフォーム
マーケティング担当者向けのメディア、ferretでは「Yahoo!ニュース」、「スマートニュース」や「グノシー」といったサービスがキュレーションメディアとして紹介されているが、個人的見解においては、これらのメディアはキュレーションメディアというよりは、プラットフォーム的な要素が強いように思う。これらのサービスは、外部のメディアからコンテンツを丸ごと買い、ユーザーにとって最適な方法で配信をしているのであって、キュレーション的な要素はほぼないからだ。
キュレーションメディアのマネタイズ方は?
次に、キュレーションメディアのマネタイズ方に関して考察していく。キュレーションメディアのマネタイズ方として考えられるのは、大きく分けて①アドネットワークによる広告収益、②マイクロペイメントなどのコンテンツの有料課金による収益化、③他社への送客、④ECによる収益の4つである。中にはこれらの手法を戦略的に組み合わせて、マネタイズを行っているメディアもある。
①アドネットワークによる広告収益
google adesenceやYahoo! Publisher Network、そしてeBay AdContextといったアドネットワークサービスによる収益がこれに当たる。参入障壁は低く、一定の流入数があれば、ブロガーでも申請さえすれば導入できる。CPC課金やCPM課金といった形で、広告収益を得ることができるが、短歌は非常に安いため、これだけで収益化に成功しているキュレーションメディアは殆ど見られない。
②マイクロペイメントなどのコンテンツの有料課金による収益化
次に挙げるのが、コンテンツの有料課金モデルだ。近年ではマイクロペイメントというわれるモデルが米国を中心とした海外で注目を集めている。これは、一記事ごとに少額で課金をすることにより、ユーザーの有料コンテンツへの課金ハードルを下げるというもの。そもそもインターネット上のコンテン ツは無料であることが基本なので、こういったコンテンツの有料化が一般化すれば、大きな変化になるだろう。
③他社への送客
3つ目に挙げるのが他社への送客である。これは、アフィリエイトのように、サイトに訪れたユーザーに何らかの行動(媒体への登録や商品の購入、イベントへのエントリーなど)を起こさせ、それをコンバージョンとして成果報酬を得る収益モデル。株式会社じげんが運営する「転職EX」をはじめとしたEXシリーズがこれに当たる。
④ECによる収益
4つ目は、物品の購買をコンバージョンポイントとして収益を得るモデルである。③にも言えることだが、アフィリエイトに近しい要素を持っており、コンテンツを製作する上では、単純にトラフィックを集めれば言い訳ではなく、そこから商品の購買にまで至るまでの導線を設計することが重要である。
2017年現在も、一部のキュレーションメディアへの風当たりは強い
キュレーションメディアのマネタイズ方に関して紹介したところで、次に2017年のキュレーションメディア界隈の最新動向を見ていこう。DeNaの騒動以降、様々な議論を巻き起こしてきたキュレーションメディアだが、半年以上経った今でも、評判の悪さは相変わらずだ。
「犯罪者に人権は無い」とか本気で思っちゃってるバカが「犯罪者の家族にも人権は無い」とか考えてこういうことやってるんだから人権教育は大切。
— 陸本 (@yoshiyuki_riku) 2017年10月18日
あとキュレーションメディアは滅ぼすべし。
Twitter見てるとたくさんリツイートされてる記事にはかならずって言っていいほどまとめサイトとかキュレーションメディアが「記事にしていいですか?」と沸いてくる。キュレーションメディア、なんてカッコいい言い方だけど人のフンドシで相撲取ってる感じだよね?
— 翠♪池袋盆BAND (@Bon_Band_Midori) 2017年10月17日
とはいえ、多くの人が利用しているのも事実。日々のちょっとした情報収集などにはキュレーションメディアを活用している人は多数いるはずである。
そんな中、DeNaが小学館と共同で「MARY」復活を目指すと宣言
SNSやネット上にはまだまだ批判的な意見は見られるが、そんな中今年8月にDeNaはかつて運営していたキュレーションメディア「MARY」の運営を大手出版 社である小学館と共同で復活させると発表した。コンテンツ力を持つ小学館の手を借りることで、コピペや情報の正確さなど、コンテンツの質への懸念を払拭するのがDeNaの狙いと見られる。
押さえておくべきサイト10選
次に、現存しているキュレーションメディアから代表的なものをご紹介。
①NAVERまとめ
前述した通り、代表的なキュレーションメディア。エンタメ、時々、ライフスタイルなどありとあらゆるジャンルの領域の情報を取り扱っています。
②nanapi
2007年に設立。キュレーションメディアが一般的に認知される前から運営されていた先駆け的な存在で生活に関するノウハウや情報を幅広く掲載。
③mamari
子育てに関する情報を配信しているメディア。同領域の先駆者的な存在で、社内には実際に子育て中の主婦ライターが所属していたり、ユーザー目線に立つといことに拘りを持っている。
④retrip
旅行やお出かけに関する情報を配信しているメディア。ユーザーがコンテンツを編集、発信できる機能は健在。
⑤antenna
女性向けファッション・グルメ情報に強みを持っており、バイラルメディア的要素もあり、良質なコンテンツを配信している。
⑥ハッカドール
アプリ・WEB・アニメに関する情報を配信。DeNaが運営しているサイト。
⑦spotlight
サイバーエージェントが運営。一連の騒動が起きた際には批判も多数あった。バイラルメディア的要素が強い。
⑧All about
キュレーターとして、その分野の専門家を据えておりコンテンツの質や信用性は高い。カバーしている領域も広い。
⑨キャリアパーク
キャリア領域に特化したキュレーションメディア。最近では、リクナビやマイナビといったプラットフォーム的要素が強くなっている。SEOがかなり強い。
⑩キナリノ
デザインやコンテンツの質は相当。ファッションや雑貨、インテリアといった領域に特化しているため、女性ユーザーが多い。
オリジナリティと情報の正確性の担保が生き残るための鍵
DeNaの騒動を受けて、多くのキュレーションメディアが閉鎖に追い込まれた。今後も、しばらくはキュレーションメディアへの世間の目は、以前よりも厳しくなることは間違いないだろう。そんな中、メディアとしてファンを増やしつつしっかり収益化するためには目先のトラフィック増加のためのコンテンツではなく、中長期的な目線でユーザーの視点に立ったコンテンツ作りが大切になってくるのだと思う。